【事例】D大学・E大学では、学術成果と経済活動がどのようにつながるのかを体系的に理解する講義を担当しています。多くの研究者の動機は「知を深めたい」「新しい現象を探求したい」というもので、必ずしも具体的な経済活動を想定しているわけではありません。もちろん「社会の役に立てばうれしい」という気持ちはありますが、それが企業の経済活動のロジックと直結しているわけではありません。
一方、企業の動機は明確です。
- 売上を伸ばし、市場を拡大すること(価値向上)
- コストを下げ、利益率を高めること(効率向上)
この2つが増収増益の本質であり、事業を持続的に成長させるための根幹です。
しかし、学術機関と企業は動機も言語も異なるため、単に技術キーワードを並べてもマッチングは成立しません。ここが産学連携が「難しい」と感じられる最大の理由でもあります。
■ 経済活動を分解すると、学術成果の応用領域が見えてくる
講義・研修では、まず企業の経済活動を
- 価値を創る構造
- コストが発生する構造
に細かく分解していきます。
すると、
- 価値をさらに高める余地のある部分
- コストを下げられる工程
- ボトルネックになっている機能
- 科学的に解決できる非効率
が「構造」として見えてきます。
ここまで分解すると、初めて研究成果を応用できる領域が立体的に見えてくるのです。
つまり、技術の側から企業を見るのではなく、
企業の“増収増益の構造”の側から学術成果を見直す
ことで、これまで見えなかった合理的なマッチングが浮上します。
この手法は現在の産学連携の現場ではまだ体系化されておらず、
**まさに“他にはない産学連携コーディネート技法”**として大きな強みとなります。
■ 実践型コーディネーターを育成するプログラム
本プログラムでは、
- 経済活動の構造分析
- 学術成果の適用領域の発見方法
- 企業の意思決定プロセスの理解
- 社会実装に向けた問いの設計
を、事例を用いて体系的に学びます。
さらに、希望があれば、
企業の経営者や事業責任者にも参加してもらい、
現実の事業構造を題材に議論しながら“磨き上げるワークショップ”も可能です。
実際、「どこに学術成果を応用しうるか」を経営者と議論したことで、
企業側が新たな視点を得るケースや、研究テーマそのものが社会実装型へ発展した例も生まれています。
■ 目指すもの
このセミナー・研修を通じて、
- 経営の言葉と研究の言葉を翻訳できる
- 増収増益の構造から研究の価値を提示できる
- 社会課題の本質を見抜き、適切な問いを設計できる
高度な産学連携コーディネーター人材を育成することを目指しています。
そして、この手法を広めることで、
日本の産学連携が“単なる橋渡し”から“共創的価値創造のプロセス”へ進化すること
を願っています。
